静岡市は登呂遺跡のすぐ近くにある、芹沢銈介美術館を訪ねました。
芹沢銈介は、人間国宝の染色家です。
などというと、重苦しい感じの作品を想像されるかもしれませんが、
あふれんばかりのアイデアが色彩の宇宙にのびのびと広がる、
幸せな作品たちに出会えました。
私がもっとも度肝を抜かれたのはこちらの「縄のれん文のれん」。
※「文(もん)」というのは、文様=図柄のことです。
のれんの柄が、縄のれんなんて・・・しかも縄を結んじゃったりして、
すげぇ!
なんという発想! なんと・・・!
文字をデザインに取り入れている作品も多くあります。
晴雨二曲屏風
右側の赤い「晴」の字は、まぁわかります。
明るくて、晴の文字がデザインされてて、お花が咲いてるのね。
花はもとの色などおかまいなしに、太陽色に染まっちゃっているのね。
特筆すべきは左側の「雨」です。
ひらがなの「う」のようになって、うるおって、
その下には、雨に濡れて水分をたっぷり含んだ葉が繁っています。
本来緑色である葉が、雨色にすっかり染まっています。
雨の日の「あの感じ」がよく現れていますよね。
晴れの日と雨の日の象徴的な対比が、おみごと!
タイポグラフィーとかいった概念ではなく、文字が完全に絵になっているところが素晴らしい。
沖縄みやげ二曲屏風
ただ、ただ、すてき・・・。
ばんどり図四曲屏風
ばんどりとは、荷物を背負う時に肩や背中にあたるのを防ぐために用いられる
山形県庄内地方の民具のことです。
芹沢銈介はこの優れた機能性の中に美しさを見出し、作品にしたのでしょう。
私もこういうの大好き♪
芹沢銈介という名は、今でもカレンダーが発売されたりしてるのを見て、
なんとなくは知っていたのですが、正直いって、古くさいと思っていました。
2011年のカレンダー
子供の頃にマッチ箱なんかでもよく見かけた気がします。
このタッチがとても人気があって、流行っていたのではないかと思われます。
嗚呼、これってわりとよくあることだと思いますが、非常にもったいないですよね。
その良さを理解できない子供時代に触れて、妙なインパクトだけが残ってしまったり、
いっとき流行ったがために、時が過ぎると古くさいものとしか見れなくなってしまう
無意識の偏見のことです。
皆さんはこういうことはありませんか?
とにもかくにも、今回の訪問で芹沢銈介のよさがわかって、
私にとっては貴重な体験となりました。
いかなる時も本質的な美しさを見抜ける目を養いたいものだと思いました。
すべてのグラフィック・デザイナーに訪れていただきたい、
また私も何度でも訪れたい、心に残る美術館でした。
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染色家・芹沢銈介に魅せられて
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